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  • 黒いかどや【かどや】

    黒いかどや【かどや】

    昨年の話になるが、東向島にある「かどや」に行ってきた。
    この店を知るきっかけは、X(旧Twitter)上での店主(かどや、黒かどや)の書き込みがあまりにも強烈な内容であったことに興味を覚えたためである。

    この店は混雑を避けるため、以下のような厳格なルールを徹底している。

    1. 泥酔者の入店禁止
    2. 全員が揃わなければ入店禁止
    3. 予約不可
    4. メニューは壁のボードに書かれたもののみ(種類は豊富)
    5. 注文はテーブルにある紙に記入し、スタッフに渡す形式
    6. 注文した料理がすべて提供されるまで追加注文は禁止

    また、店主はX上でもルールを破った客を出禁にしたことを日頃から公言しており、特にカスタマーハラスメントを行う客に対しては厳しい態度を貫いている。そのため、警察沙汰となることも辞さない姿勢だ。

    しかし、店主は毎週さまざまな店を食べ歩いており、Xに投稿される食レポは非常に面白い。口調は荒々しいものの、料理や客に対する姿勢は真摯であり、その情熱が伝わってくる。

    店の立地は、スカイツリーのきらびやかな南側とは対照的な北側であり、東武スカイツリー駅(東京メトロ押上駅)から徒歩15分の下町に位置している。スカイツリーの明かりを遠くに望みながら向かうことになる。

    この店はアンチも多いが、根強いファンも多く、19時過ぎに訪れた際にはすでに満席であった。友人が先に入店しようとしたものの、全員が揃っていなかったため入れなかったという。

    ようやく入店できたものの、慣れないルールに戸惑い、出禁にならないよう慎重に振る舞うのは気疲れするほどであった。他店では自由気ままに過ごしていたことを反省させられた。

    店内のボードには新鮮な料理が数多く並び、どれも300円前後と非常に安価である。上野、新宿、新橋の居酒屋では700〜800円程度するような料理も、ここでは500円以内で楽しめる。また、酒類も豊富であり、能登半島地震で被災した北陸の酒造メーカーの銘柄を多く取り扱っている点も印象的であった。

    料理の質は申し分なく、特に刺身類は市場で仕入れたばかりの新鮮なものが提供される。扱う食材自体は一般的なスーパーと変わらないものの、その価格設定が魅力的である。

    2時間ほど滞在したが、会計時の金額にも驚かされた。コストパフォーマンスが極めて高く、再訪したい店である。しかし、自宅からの立地が不便なため、半年以上が経過した現在も再訪の機会を得られていない。